ロジクールのマウスやキーボードを購入しようとすると「Logi Bolt」や「Unifying」という言葉を目にすることがあります。これらはパソコンと周辺機器を無線でつなぐための独自の通信技術です。一見似ていますが、実は互換性がなく、仕組みも異なります。それぞれの特徴を正しく理解して、自分にぴったりの機材を選びましょう。
Logi BoltとロジクールUnifyingの違いをやさしく整理
ロジクールのワイヤレス製品を支える二つの主要な規格、Logi BoltとUnifying。これらはどちらもUSBポートに小さなレシーバーを差し込んで使うものですが、中身は全くの別物です。Unifyingは長年親しまれてきたスタンダードな規格であり、Logi Boltは最新の技術を用いてセキュリティと安定性を高めた次世代の規格として登場しました。
通信の仕組みと安定性の考え方が違う
Logi BoltとUnifyingの最大の違いは、ベースとなっている通信技術にあります。Unifyingは独自の2.4GHz帯を利用した通信を行いますが、Logi Boltは「Bluetooth Low Energy(BLE)」をベースにした独自のカスタマイズを施しています。これにより、Logi Boltはオフィスやコワーキングスペースのように、多くのワイヤレス機器が飛び交う混雑した電波環境でも、接続が途切れにくく安定しているという強みを持っています。
一方で、Unifyingも一般的な家庭内や静かな環境であれば十分快適に使えます。しかし、周囲にWi-Fiルーターや電子レンジ、他のBluetooth機器が多い場所では、稀にカーソルの動きが飛ぶなどの干渉を受けることがありました。Logi Boltはこうした干渉を避けるための仕組み(周波数ホッピング)が強化されており、よりプロフェッショナルな現場や過酷な電波環境での使用を想定して作られています。日々の作業で「絶対に接続を途切れさせたくない」という方には、Logi Boltの安定感が頼もしく感じられます。
対応デバイスの世代とラインナップが違う
対応している製品のラインナップにも世代交代の波が現れています。Unifyingは2000年代後半から続く歴史ある規格であるため、過去に発売された数多くのロジクール製品が対応しています。手頃な価格のマウスから、少し前のハイエンドモデルまで、選択肢が非常に幅広いのが特徴です。しかし、最新のフラッグシップモデル(MXシリーズなど)は、徐々にLogi Boltへの移行が進んでおり、Unifying対応の新製品は減りつつあります。
対するLogi Boltは、2021年頃から採用が始まった新しい規格です。そのため、対応デバイスは最新の高性能モデルや法人向けモデルが中心となります。「MX Master 3S」や「MX Keys S」といった最新の人気モデルを使いたい場合は、自動的にLogi Boltを使用することになります。今後、ロジクールの主力製品はLogi Boltへ集約されていく流れにあるため、今から新しく周辺機器を揃えようと考えている方は、Logi Bolt対応製品を中心に検討するのが将来的な安心につながります。
受信機の互換性とペアリング方法が違う
ここが最も注意すべきポイントですが、Logi BoltのレシーバーでUnifying対応のマウスを操作することはできませんし、その逆も不可能です。レシーバー自体が物理的に異なるため、混在させる場合はパソコンに二つのレシーバーを指す必要があります。見分け方としては、Unifyingレシーバーにはオレンジ色の太陽のようなマークが、Logi Boltレシーバーには黄色のボルト(稲妻)のマークが刻印されています。
ペアリング(接続設定)の方法にも違いがあります。Unifyingは「Logitech Unifyingソフトウェア」という専用ソフトをPCにインストールして設定を行います。一方、Logi Boltは最新の「Logi Options+」というアプリ、または「Logi Bolt専用アプリ」を使用して設定します。Logi BoltはBluetoothベースであるため、レシーバーを通さずPC本体のBluetoothと直接つなぐことも可能ですが、Unifying製品は専用レシーバーがないとBluetooth接続できないモデルも多いため、運用の自由度にも差が出てきます。
セキュリティ重視か手軽さ重視かで合う方が変わる
Logi Boltが開発された背景には、企業ユースにおけるセキュリティ強化という側面があります。Logi Boltは、Bluetoothのセキュリティモード1、レベル4(Secure Connections Onlyモード)に準拠した強固な暗号化が行われています。これは、外部からの傍受や改ざんを極めて困難にするもので、機密情報を扱う企業のオフィス環境でも安心して導入できるよう設計されています。
それに対してUnifyingも一般的な暗号化はされていますが、Logi Boltほどの高度なセキュリティ規格には準拠していません。個人で自宅利用する分にはUnifyingでも全く問題ありませんが、会社の規定で厳しいセキュリティ要件が求められる場合や、金融機関、医療現場などで使用する場合は、Logi Boltが推奨されます。「最新の安全を手に入れる」という意味でLogi Boltを選ぶか、「これまでの資産や安価な選択肢を活かす」という意味でUnifyingを使い続けるか、用途に合わせて判断するのが賢明です。
使い方に合うおすすめロジクール製品
それぞれの規格に対応した代表的な製品を紹介します。2026年現在、最新の作業環境を構築するならLogi Bolt対応モデルが主役になります。
Logi Bolt USBレシーバー
Logi Bolt対応のマウスやキーボードを接続するための専用レシーバーです。1つのレシーバーで最大6台までのデバイスをまとめて接続できます。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 通信方式 | Bluetooth Low Energyベース |
| セキュリティ | セキュリティモード1、レベル4準拠 |
| 特徴 | 混雑した環境でも安定した接続 |
| 公式サイト | Logi Bolt USBレシーバー |
Unifying USBレシーバー
長年愛されているオレンジ色のマークが目印のレシーバーです。古いモデルを愛用している方や、安価なセットモデルを導入したい場合に活躍します。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 通信方式 | 独自2.4GHz無線 |
| 最大接続数 | 最大6台 |
| 備考 | Logi Bolt製品との互換性はありません |
| 公式サイト | Unifyingレシーバー |
MX Master 3S(Logi Bolt対応モデル)
ロジクールの最高峰マウスです。Logi Boltに対応したことで、静音クリックとともに非常に安定した操作感を手に入れました。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 解像度 | 8,000 DPI(ガラスの上でも操作可能) |
| 特徴 | 静音クリック、MagSpeedホイール |
| 公式サイト | MX Master 3S |
MX Anywhere 3S(Logi Bolt対応モデル)
持ち運びに最適なコンパクトサイズのハイエンドマウス。どこでも使える高性能センサーとLogi Boltの安定性が魅力です。
MX Keys S(Logi Bolt対応モデル)
流れるようなタイピングが可能な高機能キーボード。バックライト機能や、Logi Boltによる安全な接続でオフィス作業をサポートします。
M720 Triathlon(Unifying対応モデル)
3台のデバイスを切り替えて使える多機能マウス。Unifying対応の定番モデルとして、長く親しまれています。
Logi BoltとUnifyingを選ぶ前に確認したい注意点
新しくロジクール製品を導入する際に、後から「困った」とならないために、いくつか押さえておきたいポイントがあります。特に複数の機材を組み合わせて使う場合は、規格の混在に注意が必要です。
受信機が付属しないモデルもある
最近のロジクール製品、特に「MXシリーズ」などの上位モデルでは、環境配慮やコスト削減の観点からUSBレシーバーが別売りになっているモデルが増えています。例えば、製品名に「S」がつく最新モデルなどは、本体のみで販売されていることがあります。Bluetooth内蔵のPCであればレシーバーなしでも使えますが、Logi Boltならではの安定性やセキュリティを享受したい場合は、レシーバーが同梱されているか、別途用意する必要があるかを必ず確認してください。
会社PCや共有PCはセキュリティ要件を見て選ぶ
会社のパソコンで周辺機器を使いたい場合、IT部門の規定を確認することが大切です。一部の企業では、一般的なBluetooth接続を禁止していることがありますが、専用レシーバーを介したLogi Bolt接続であれば、USBデバイスとして認識されるため許可されるケースもあります。また、前述の通りLogi Boltはセキュリティ基準が高いため、法人窓口ではLogi Boltモデルへの集約を推奨していることが多いです。
マウスとキーボードを1つの受信機にまとめたいか考える
デスク周りをスッキリさせたいなら、マウスとキーボードの規格を揃えるのが理想です。Logi Bolt対応マウスとUnifying対応キーボードを混ぜてしまうと、PCのUSBポートを2つ占有してしまいます。1つのレシーバーにまとめれば、USBポートの節約になるだけでなく、専用アプリでの管理も一括で行えるため非常にスマートです。新しく買い換えるタイミングであれば、できるだけ規格を統一することをおすすめします。
Bluetooth併用の運用も含めて決めると失敗しにくい
Logi Bolt製品の多くは、レシーバーを使わない「通常のBluetooth」接続にも対応しています。例えば、メインのデスクトップPCには安定感のあるLogi Boltレシーバーで接続し、外出用のノートPCやタブレットにはBluetoothで接続するといった、ボタン一つでの切り替え運用が可能です。一方で、古いUnifying専用モデル(Bluetooth非対応のもの)はこの柔軟な使い分けができません。将来的にタブレットや複数のPCで使い回す可能性があるなら、Bluetoothも併用できる最新のLogi Bolt対応モデルを選んでおくと、運用の幅が大きく広がります。
Logi BoltとUnifyingの違いを押さえて後悔なく選ぶ
ロジクールの無線技術は、今まさにUnifyingからLogi Boltへと世代交代の真っ最中です。過去の資産を活かせるUnifyingは便利ですが、これからの接続安定性やセキュリティ、そして最新モデルの性能を100%引き出すためにはLogi Boltが欠かせません。
もし、今から新しく仕事道具を揃えるのであれば、将来性を考えてLogi Bolt対応製品で統一するのが最も後悔の少ない選択です。自分の使っているPCの環境や、会社でのセキュリティルール、そして「どのマウスを手に馴染ませたいか」を考えながら、最適な通信規格のモデルを選び取ってください。快適なワイヤレス環境が、あなたの作業効率を一段引き上げてくれるはずです。
